お茶を淹れる時間が、暮らしの日常になっていきました。
お茶時間を楽しむための急須や茶杯が増えていくたびに、日々の中で楽しみと、同時に少しの不安も生まれました。
お気に入りの茶器たちをインテリアとして飾るように棚に置いていましたが、子どもが触れてしまうかもしれない、割れてしまうかもしれない——。
そんな心配が最近増えてきていました。
きっかけは「しまうこと」に対する違和感
“しまう”という行為は、本来「隠す」ことではなく「整える」こと。
お気に入りの茶器をただ片付けるのではなく、丁寧に取り出し、また丁寧に仕舞う——
子供も大切なおもちゃを箱に丁寧に仕舞います。大人も大切なアクセサリーなどは箱にしまったり。大切なものは箱に仕舞うのです。
その所作自体が心地よく、美しいものであってほしいと感じました。
そう考えたことが、この茶箱をつくる最初のきっかけです。



構造がデザインになる——あられ組の美しさ
茶箱を考えている時、友人の家に遊びに行く機会がありました。その家にあったのは、古い桐ダンスから制作したという箱でした。お裁縫道具などが入るその箱の角には「あられ組」と呼ばれる木工の伝統技法を用いられており、美しさと温かみを感じるものでした。

「あられ組」は、強度を高めるための構造でありながら、その規則的なかたちはシンプルな箱に小さなリズムを生み出します。
装飾を足すのではなく、構造そのものに美しさを見出す。
それが私が表現したいカタチでした。

