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茶さじをつくる|少ない加工で成立する、ちょうどいい茶匙

2026 6/30

小さな不便から

お茶を淹れるたびに、少し気になっていたことがあります。

パッケージに入った茶葉を掬うとき、一般的な茶匙では長さが足りず、袋の奥まで届かないことがありました。

茶葉を掬うための道具なのに、肝心の茶葉まで届かない。

そんな小さな不便が、この茶匙をつくるきっかけになりました。

目指したのは、茶葉を気持ちよく掬えること。そして一人分の茶葉を自然に量れることでした。

茶則という道具

形の着想源になったのは、中国茶や煎茶道で使われる「茶則(ちゃそく)」です。

竹を割っただけのような簡素な道具ですが、その中には長い時間をかけて磨かれた合理性があります。

茶葉を掬いやすく、茶器へ移しやすい。

その美しい機能性を手がかりにしながら、現代の暮らしの中で使いやすい形を考えました。

また、煎茶一杯分の茶葉である約2.5gを掬えることも、この茶匙の大切な条件でした。

スケッチから考える

最初に行ったのは、手描きのスケッチです。

どのような形が使いやすいのか。どのような加工方法で作るのが良いのか。

頭の中にあるイメージを紙に描き出しながら、寸法や形状を検討していきました。

工業製品のように設計しながらも、作り込みすぎないことを意識しています。

手を動かして確かめる

スケッチの次に、厚紙でモックアップを制作しました。

実際に茶葉を掬いながら、長さや幅、容量を確認します。

袋の奥まで届くか。

一人分の茶葉を掬えるか。

手に持ったときに違和感はないか。

図面だけでは分からないことを、一つずつ確かめながら形を整えていきました。

職人さんとつくる

完成したスケッチとペーパーモックを職人さんにお見せし、最適な加工方法を一緒に検討していただきました。

加工を増やせば形は自由になります。

しかし今回は、できるだけ少ない加工で成立することを大切にしました。

無理なく作ること。

素材の魅力を残すこと。

木の温かさが自然と伝わること。

そうした考えを共有しながら、現在の形へと辿り着きました。

量産と手仕事の間の、ちょうどいい

この茶匙は、量産品でも工芸品でもありません。

工業デザインの合理性を持ちながら、手仕事の余白も残しています。

必要な機能だけを備えたシンプルな形。

けれど木の質感が手に馴染み、使うたびに少し温かさを感じられる道具。

TSUDO.が考える「量産と手仕事の間の、ちょうどいい」を形にした一つの答えです。

お茶を淹れる時間の中で、自然と手が伸びる存在になってくれたら嬉しく思います。


量産と手仕事の間の、ちょうどいいを。

工業デザインの合理性と、手仕事の余白を。

必要な数を、丁寧に。

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